[]オジサンはこれからどうやって生きて行けば良いの?(内田樹・岡田斗司夫「評価と贈与の経済学」)





20代の中頃、仕事で名古屋に向かう新幹線の中。



初めてレヴィ・ストロースの著作を読んで衝撃を受けたことを思い出します。





サンタ・クロースの秘密」という本でした。



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110ページくらいの薄い本なので、「贈与」に興味のある方は是非読んでみることをお勧めします。





そもそもクリスマスっていうのはなんなのだ?という日本人が考えたことも無い問いで論考が進んでいきます。





「子供vs大人」という対立から「死者vs生者」という対立構造をクリスマスの中に見る、というすごい話です。ここで念頭に置かれている概念も「贈与」です。





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社会は「贈与」の力で回っていきます。しかも、この傾向は今後強まっていく。



岡田斗司夫内田樹が極めて秀逸な例で語っていますが、「パスはパスを出す人のところに集まっていく」のです。(そしてゲームは進んでいく)



こうした「贈与」がより重要な機能を果たすようになっていく背景には、「お金の多小」を価値観の中心に持ってくることのやりきれなさがあります。



ぶっちゃけて言ってしまうと、今後お金をたくさん稼ぐことはとても難しいことになるのだと思います。達成が難しいことを価値観の幹におくと、社会は不幸せになります。



ファーストリテーリングの柳井会長は、きっとそんな甘ったれた考えは許してくれないと思いますが、残念ながらお金を稼ぐ競争から「降りる」人は増えることはあっても減ることはなさそうです。





それから、お金で買えない価値マスターカードのCMじゃないけど)に、より強く惹かれる人が多くなったということも「贈与」の力が強まる一因だと思います。



自分より下の世代を見ていて思うのですが、僕らの世代よりも下の世代の方がこのあたりの感性は鋭い。新しい時代に上手く適応しているな、と本当に思います。







さて、困ってしまうのは僕らの世代を含むオジサンです。



というのも、どう考えても、そういう時代を生きて行く心の準備が出来ていない。経済成長とか年功序列で賃金が上がるとか、旧時代の環境に体の半分が浸かってしまっていたため、考え方の調整が上手く行かないのです。



柳井さんの本を読んで危機感を感じ、必死にグローバルで戦えるスキルを身につけるため努力する、というのが僕らの世代が一生懸命やっていることのように思います。





僕はスキルを磨くことはとても素晴らしいと思います。一生懸命努力することも大好きです。





だけど、今一度立ち止まって、自分の時間(とお金)を何に投資するのかをよくよく考えた方が良いと思うのです。





この先出現する社会は、これまでの延長上のものではなさそうです。多分、もっと貧乏で、もっと温かい社会が出現するのだと思います。そういう社会で生きて行く時に自分に足りないものはなんなのか?



それは本当に語学のスキルなのか?ロジカルシンキングなのか? 仮にそれを身に付けたとして、あなたの立ち位置はどこにあるのか?



一つ一つのスキル上達が、社会と自分の関係のどこに位置するものなのか、そんなことをしっかりと考えると良いのだと思います。







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