[]Emotional Program Bible

質問: 世の中の消費者を分類して、各グループの特徴を記述できますか?



クラスタリングを成功させる鍵は、分類に使用する因子の選択にあると思います。

各種のクラスター分析(多変量解析系の階層・非階層やニューラル系のものまで)は、ソフトの進歩もあって簡単に出来ます。また、クラスタリング→ターゲティング、という流れは、伝統的なマーケティングプランニングのプロセスの一部として、マーケティング実務に関わるすべての人が日常的に行っていると思います。


ただし、ターゲティングをするかしないか、ということは、実際のプランの優劣には関係がありません。 誰もがターゲティングを考えているが故に、ちょっとやそっとのクラスタリングでは、切れの良い分析が出ないからです。

「これは!」と思うマーケティングプランが出てこない現場では、どうしてその因子(軸)を使用するのか説明できない「切れない因子」が使われていることがほとんどです。


この本は、ブランド(特にファッションブランド)の集積的表現を元に、消費者のクラスターを表現し、それをマーケティングに生かそうとしている本です。


大規模なクラスタリングのシステムとしては、僕も一時期お世話になっていたVALSなどがあり(バイトしながら勉強させてもらってました)、使い勝手としてはそちらの方がよいような気がします。

ただ、この「Emotional Program」の良いところは、ブランドという表面的・視覚的切り口とは言え、消費者の感性の「全体像(=ユニバース)」を記述しようとしたところにあると思います。


本に出てくる絵や写真もとても綺麗です。


ぱっと見て、「あ、全体像はこんなものかな」という腹に落ちる感覚を得ることが出来る為、手元においてたまにぱらぱらめくっています。

基本的に、僕はあまりターゲティングは信用していません。特に、マーケティングの企画書に出てくる薄っぺらいターゲット像は、見るたびに気分が悪くなります。

ターゲティングによって成功したとうたっているプロダクトの例も、本当に計画通りターゲットが商品を受け入れたのか。ターゲット像ははずしたけど売れてしまった商品の例は枚挙にいとまがないわけです。

まあ、そうはいっても、「切れる」軸で、世の中を一度切ってみると、いろいろなアイデアが出てくることも事実です。

そういう意味で、完成度の高いクラスタリングのシステムを参照可能(かつ使用可能)な状態においておくというのは意味があると思います。


なべの答え:何通りか可能。ただ、クラスタリングしないマーケティングのプロセスを取ることも考えておかないとダメ