[]セールス組織の組み方が変わってきた

世界的なセールス組織の組み方が、企業の勝敗を分けるポイントになってきた気がするんですね。



何を当たり前のことを、と思うかも知れませんが、これは従来の「セールスの効率性をどうするか」、という話ではありません。そうではなくて、もう一段上から見た際のビジネス設計におけるセールスの話です。



市場が多極化してきたことに伴って、事業全体の成否が生産の規模の大小で決まるケースが多くなっているように思います。例えば、LED照明。これ、環境対応やLED照明の技術進歩・価格低下に伴って市場が爆発的に伸びているのですが、勝敗を決めるポイントはおそらくエクスペリエンス・カーブで先行できるかどうか。



従来の光源市場では、白熱電球や蛍光管の生産に専用設備が必要な「設備産業」だったわけですが、LED照明では誰でも生産が可能な「組み立て産業」になっています。こうなると、素材メーカーやら新興メーカーやらが大量参入してくるわけですが、市場勃興期を経て生き残っていけるのは、先手必勝で規模を押さえ、エクスペリエンスカーブに乗っ取った最も効率のよい生産体制を整えたメーカーに限られます。



最近、この手の産業が非常に多い。液晶テレビしかり太陽光発電パネルしかり。



新興市場を含めて、グローバルトータルでどれだけのシェアを押さえて規模の経済性を押さえられるか、これがかぎになってきます。LED照明に関しては、長寿命とは言えども現状では1個あたりの単価は高いので、初期導入が出来る顧客セグメントは限られてきます。



売れるセグメントをいち早くかぎつけ、そのセグメントに即したセールス組織を作れるか。地球の地の果てまで出て行って、貪欲に量を稼ぐ組織を作れるかどうか。これが鍵です。今まで先進国のエンドユーザーにしかものを売ってこなかった(=セールス組織がその顧客セグメント向けに設計されている)メーカーは、売れるセグメントに絞ったセールス体制に変化していかなければなりません。



商品デザインとセールスデザインを別々に考えていると、おそらくLED照明のような商品では勝てません。値段を下げれば売れるセグメントが変わり、販売量が変化する。販売量が変化すればコスト構造が変わり、投資額が変わる。それに伴ってセールス組織のデザインも変わる。



複数の変数がお互いに関連している多重連立方程式、がこの手のビジネスの姿で、この連立方程式を最も早く解いた人が勝者になる。そんな時代だと思います。