[]チャーリーとチョコレート工場

チャーリーとチョコレート工場



「平和な時代のハーメルンの笛吹き男」でしょうか。


グリム童話ハーメルンの笛吹き男では、鼠退治をしたのに報酬を払わない市民に腹を立てたまだら服を着た男が、一番大切なものを貰うと言って笛を吹き、130人の子供と共にどこかに消えてしまいます。

チャーリーとチョコレート工場」では、金のチケットを手に入れた5人の子供と付添い人の親が、まだら服ではないけれど変な格好をしたジョニー・デップに工場内に連れ込まれ、そのうち4人は「ひどい目」に会います。

阿倍謹也は、ハーメルンで人が居なくなったという史実が、「笛吹き男に連れ去られた」という文脈に変身していく過程を指摘し、そこに遍歴芸人という社会的下位階層の存在と、「世間」の目を発見します。


「食いしん坊」
「鼻持ちならない高慢さ」
「わがまま」
「過剰な自信の謙虚さの欠如」


という4つの態度に対して、笛吹き男を演じるジョニー・デップが「世間」の目を代弁し、そして最後は「家族」という「世間」の価値に戻っていく。

今の時代の「世間」の様態をつづった童話というところでしょうか。