[]「三位一体モデル」中沢新一(2006)

三位一体モデル

30分で読める中沢新一の三位一体「論」の解説書、、、、、というわけではないらしい。



三位一体「論」は、カトリック東方正教会プロテスタントキリスト教の正統教義の1つで、この30分で読み手が理解できる内容をはるかに超えた複雑な内容のようです。中沢さんはこの辺はよく知っているのでしょうから良いのですが、無知な僕らがこの本を読んで変な納得をしてしまうとちょっと怖いですね。



この本の趣旨は「三位一体」をモデル(フレームワーク)として使うと新しい視界が開けるよね、ということなのですが、ビジネスや日常生活を斬るモデルとして使うには、あまり使い勝手の良いモデルではないように思います。



精霊=増えるもの、として考えたとき色々と理解できることが増えるという考えには同意します。「サンタクロースの秘密」の中沢新一の解説で、贈与=霊が動くことによる価値の発生、という話に触れていて、目が覚める思いをしたのを覚えています。ですが、三位一体を「モデル」として使う場合、「子」の役割が、「父」と「精霊」の役割に比べて小さいように思えてしまう。



本文の中でかなりの文面を割いて説明している「西洋の合理化」という概念も三位一体モデルに当てはめなくても十分に理解可能かつ把握可能なので、このモデルを持ち出す「メリット」がいまひとつ良くわかりません。



中沢新一トークライブをそのまま本にしたとのことですが、なんか大事な要素が抜けたまま、本にまとめられてしまったような感じがします。