電子ブック市場

将来的には誰もが電子媒体で本を読む時代になる、と言われてきましたが、ここに来て電子ブック市場が拡大しているそうです。



牽引しているのはAmazonのKindleとソニーですが、拡大したポイントは利用可能な書籍数(=ソフト)の数量を抑えたこと、と言われています。普及のためにはソフトの充実が必要、というのはゲーム機などでも言われることで、古くはプレイステーション任天堂の戦いでも勝敗を分けるポイントとなりました。



ただ、電子ブックがゲーム機と異なるのは、紙媒体という歴史的かつ特殊なインターフェースと戦わなければならないことだと思います。紙に対する消費者のこだわりがどの段階で消えるか、がもっとも重要かつ読みにくい。 



現在のキーボード配列(QWERTY配列)は実は人間工学的にはわざと打ちにくいように作ってあります。というのも、この配列の由来はタイプライターにあるといわれていて、タイプライターでは打ち間違いを減らすために、わざと連打がしにくいように配列が作られているからです。



この配列を変えようという試みはこれまでことごとく失敗していて、結局人間というのは慣れ親しんだインターフェースを変えることに強い抵抗があります、という人間工学の話でよく引用されます。



書籍の場合の紙はどうか。



世の中は30年単位で変わるという仮説があります。世代が変わるのが丁度30年単位だから、ということなのですが、仮に今の子供が書籍を電子端末で読むようになったら30年後にはこれが常識になるのかもしれません。 



もし、30年も待てないということであれば、これはどうやって商品コンセプトを浸透させるか、というマーケティングの課題になります。



どうすれば、電子書籍市場はスムーズに拡大するのか。



例えば、本から入るのではなく新聞や雑誌の代替品として入るのはどうか、などやり方は色々あるように思います。本はやはり本棚に並べたいし、書き込みも良くするので電子ブックには抵抗が強いかもしれません。が、新聞や雑誌はどうせ捨てるものだし、仮にWifiやWANを内臓して、毎日の朝刊や最新号がどこに居ても届く、ということになれば、中々魅力のあるサービスになるような気がします。オプションで過去記事検索も可能にして追加料金を取る、など付帯ビジネスも可能なように思います。



そうやって居るうちに、だんだん電子媒体で書籍を読むことに慣れてきて、本も売れるようになるかもしれません。



自主出版や絶版本など、電子媒体と相性の良いものは一杯あります。



個人的には電子ブックには頑張って欲しいのですが、市場への浸透は是非賢くやって欲しいものだと思います。