[]違う韓国が見える"Breathless (邦題:息も出来ない)"

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海外の映画祭で評価の高かった作品で、東京ではシネマライズでやっていたのだけど、その時はケースが忙しすぎてまったく観る暇がありませんでした。で、もう上映が終わってしまっていて、DVDも無いので諦めていたんですが、UK盤のDVDがあることがわかり即 amazon.co.uk からお取り寄せして先週の金曜日に見ました。



この映画は、韓国の家族、特に父親と家族との関係の問題を描写しているのですが、そこであぶりだされる父親の問題は今まで見たことの無い韓国像を伝えてくれます。すなわち、社会の歯車になることを要求され、精神的に屈した父親が自分よりも弱い女・子供に暴力を振るい、それを経験した子供が大人になってその暴力を再生産する、という構造です。



映画でもこの再生産が、母の屋台を破壊するサンフンを遠くから眺めるヨニと、後に別の場面でやはり屋台を破壊するヨンジェを遠くから眺めるヨニという場面で明示的に語られます。 今の韓国の状況を見るに、おそらくこの再生産過程はヨンジェの代で断ち切られるんだろうと思います。サンフンが死ぬ理由は、次世代に繋がる希望ゆえであり、そういう意味で僕はこの映画はハッピーエンドとして捕らえました。



良い映画なのでお勧めです。英語版ですが、DVDもありますのでよろしければどうぞ。