すごい違和感。サムソンは韓国社会に恩返しをしているのか?
もう一つ、今週の日経ビジネスねた。
サムソンの実効税率が非常に低いという話が今週の日経ビジネスに出ていました。「国家として輸出産業をバックアップしている」と日経ビジネスは言うのですが、僕、これはちょっと違和感を感じるんですね。
なぜかと言うと、サムソンはもう国家がバックアップする必要が無いところまで成長しているから。逆に国家(=社会)に恩返しをする立場だと思うのですが、数字を見る限り、あんまり恩返しをしているようには見えない。
サムソンのキャッシュフロー創出力って半端無いのは有名な話。参考までにソニーとの比較で見るとこんな感じ。
(09年 $m 括弧はマイナス値)
サムソン ソニー
営業活動CF 15,548 9,878
投資活動CF (11,175) (8,072)
財務活動CF (2,774) 2,955
この創出力の源泉は、本業での規模と利益率の両方から来ています。同様にソニーとの比較で見るとこんな感じ。
(09年 $m)
サムソン ソニー
売上 109,944 78,055
EBITDA 17,985 4,358
(対売上%) 16.3 5.6
これだけキャッシュが作れれば、次世代への投資にも余裕が出るわけで、損益計算書上のR&D投資額はソニーを上回りますが、稼ぎ出しているキャッシュから考えると、なんかまだ余裕があるように見えます。大変不気味。
(09年 $m)
サムソン ソニー
R&D投資額 6,024 4,674
サムソンは実効法人税率が15%程度で、それは韓国の法定税率よりも相当優遇をされているのですが、この会社を優遇しつづけることにはあまり意味が無いように思います。 十分「稼げる良い子」に育ち、自力で再投資できるので、もう普通に税金をとっても良いのでは?というのがパッと見の印象です。
僕はこの話を聞いていて「李明博自伝」の話を思い出しました。(*ちなみに、前にもブログで書きましたが、この人の自伝、未読だったら今すぐAmazonで買って読むことをお勧めします。隣国の大統領が鼻血ものの凄まじい経歴の持ち主だということがわかってびっくり仰天します)
学生時代に、家族の中で長兄を大学に行かすために、弟の李明博はごみ拾いの仕事をしたそうです。家族の中で有望な子供に集中投資をして家族総出で支え、出世をさせ、その代わりにその子供は出世をした後に家族を支えるということなんだろうと。
韓国社会は97年以降、少数の企業を選び、国内で儲けさせ、税制的にも優遇し、育て、世界に冠たる大企業を作りました。 今はもう、育てた子供に社会を支えてもらう段階に入っているのではないかと思うのですが、税率は相変わらず低いまま。
サムソンのサプライヤーへの要求は非常に厳しく、中小企業は疲弊をし、、、という定性的な話もちらほら聞きますが、サムソンに対して韓国の普通の人は一体どう思っているんでしょうか。
どうにも違和感を感じます。