リアリティ表現(三菱一号館美術館「トゥールーズ・ロートレック展」)

no title




ロートレックで一番記憶に残っているのは、オルセーが持っているキャバレーの女性のポートレートリトグラフで、画面の中央に挑発的な女性の顔が描いてあって、後はほとんど何も描いてないような作品でした。



表現したかったのは、この女性の表情から読み取れる感情。その部分は繊細な線で描写しているんだけど、身体のパーツとかはほとんど手抜きといか思えないようなラフな描き方。他の部分はあえて描かないことで、一番表現したかった部分がハイライトされるという構図の作品でした。



今回、かなりの量のロートレックを観ましたが、基本、同じ表現構図で描きまくり、36歳の短い生涯を終えた人だということが分かりました。



キャバレーのポスターを大量に描いていましたが、彼の表現が商業に向くというのはとてもよく理解できます。リアリティの本質は、以下に本当のものを本当のように表現するかではなくて、観る側のリアリティのツボに迫るかこと。



100年前のその手法がよく分かります。