[]妙なリアリティ(映画「ヒミズ」)

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これは痛い。



リリィ・シュシュのすべて」が、中学時代の横の関係の窮屈さから出てくる痛さを表現した映画だとしたら、こちらは、親と子の縦の関係が崩壊したところから出てくる痛さを表現した映画。



とんでも無い境遇の家庭に育った主人公二人。この映画を観ている大半の人にとっては、ここまで家庭が崩壊している人はほとんど居ないと思います。が、それでもこの映画が非常に大きなリアリティをもって迫ってくる。



韓国映画は、血縁関係の濃さからくる鬱屈さを繰り返し繰り返し描いています。対して、日本映画は、関係性があまりにも希薄なことから来る問題を繰り返し繰り返し描いているように思います。(隣国で、似たような産業構造を志向したのに、どうしてこうも社会の命題が変わってくるのか。。これはこれで面白い話なんだけど)



是枝裕和の「空気人形」とか、現代の日本人の関係性の希薄さが気味悪く描かれているだけで、観ていて救いが無かった。



ヒミズ」は、痛い映画ではあるんですが、どこか救いがあるように感じました。親と子の繋がりは崩壊しても、住田と茶沢の関係は強まる一方のように思うし、もしかしたら夜野と住田は違う関係性を獲得するのかもしれない。



そのあたりが、ポジティブな意味でこの映画にリアリティを感じる理由なのかなあ。。。



ちなみに、主演の二人、染谷将太二階堂ふみ。二人ともすばらしい演技ですね。