[]アフガン零年
「アフガン零年」
生き延びる為に少年になった少女
配給会社のコピーでは「少年になった」とありますが、「少年になった」んじゃなくて「少年にさせられた」少女が正しいと思います。
国が戦争状態にあるので、いろいろなことが「強要」されます。髪の毛を切って少年になったのは家族からの強要でしょう。
この映画は人間の判断の「あさましさ」の積み重ねで出来ていて、最初から最後まで強烈に気分が悪くなります。
・タリバン政権下でビデオカメラを回す欧米のジャーナリスト(死刑になってしまう)
・孫に髪を切って少年になるように言う老婆(生きる為とはいえ、、)
・主人公の少年になりきれない行動(致命的な結果をもたらします)
・「お前、女だろ」とはやし立てる学校の生徒(1人の少女の人生を台無しにします)
・少女を嫁に迎える老子
どれも、観ていて、なんてことをするんだ!と思います。
「あさましい」という感覚が幾層にも積みあがって、最終的には怒りとも絶望ともつかない感覚になります。
監督のセディク・バルマクは、当初ラストで別のハッピーシーンを用意していたそうですが、「今のアフガンに希望はあるのか?」という自己疑問に従い、ラストシーンを差し替えたそうです。
そのシーンの直後にタイトルリストが流れたのを観て、「ああああ、、、」と思わず声が出てしまいました。
ハッピーな映画ではありませんが、感情を揺さぶる名作です。
2004年ゴールデングローブ賞 外国語映画賞受賞
2003年カンヌ国際映画祭 カメラドール特別賞