[]はじめての現象学

はじめての現象学


竹田青嗣

フッサールが「主観−客観」の問題を乗り越えていくところまでの説明が分かりやすく解説されている本だと思います。 ニーチェ、カント、、と認識の問題がどのように考えられてきたのかがよく分かります。


ただ、この本から得られた知見はそこで止まっています。竹田は、フッサールの知見の歩みをたどったあと、「エロス」の話に軸足を移動させようとさせます。「認識」や「価値評価」を完全に一致させる必要はなく、複数の主体が共通の「認識」や「価値評価」を共有することができるのかどうか、その構造を探る、という魅力的な問いを提出するのですが、結局その構造は最後までわかりませんでした。問いの繰り返しで議論が終わってしまいます。


残念です。 「意味」とか「価値」とか、魅力的なタームだったのですが。