[]ダンサー・イン・ザ・ダーク

ダンサー・イン・ザ・ダーク



ここまで感情を揺さぶられる作品も珍しい。 

8ミリで手持ち撮影したのかと思うような映像でスタートするが、撮影は「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のロビー・ミュラーとのこと。

60年代のアメリカ、チェコ移民のセルマ(ビョーク)は遺伝により視力が失われいく。しかし、ある理由により、工場のプレス機を操作する仕事をし、貯金のためにオーバーワークをする。

本当に、「やめてくれ」というハラハラ感とイライラ感。そして、唐突に始まるミュージカルのリズムと、歌詞の内容のせつなさ。さらに、不幸ながらも友達に恵まれていた生活が、不条理な理由で唐突に奪われるショック。




そして、最後のあのシーン。

恐怖の絶叫の時間と、息子が手術を受けたことを知った後に歌う時間のコントラスト! 耳に突き刺さる不協和音の絶叫と、その後の歌唱との音のコントラスト。恐怖の表情と安心した表情とのコントラスト。 演技・演出・脚本、すべてが明確なコントラストとなって、「あの」瞬間、観ている自分の心の中に強烈に突き刺さりました。


賛否両論あるのはわかるし、観終わった後に腹立たしいと感じる人がいるのもわかりますが、そこまで観客の感情を揺り動かしたこの作品の強度には脱帽しました。(大泣き)




2000年カンヌ国際映画祭
パルム・ドール : ラース・フォン・トリアー
□女優賞 : ビョーク