[]「ブランドのデザイン」 川島蓉子(2006)
川島さんのブランドの本。渋谷のブックファーストで買ったのですが、手にとって「なんか、「デザインのデザイン」みたいな表紙だな」と思いました。
内容は例によって、クリエイターやマーケターへのインタビューをまとめたものなのですが、まとめの論調にキレが無い。
「ブランドとして変えてはいけない部分を持つ」
「同時に絶えずブランドの刷新を行う必要がある」
「企画・デザインから販売まで、一気通貫の組織を持つ」、とか
こういう結論は、川島さんが今更導き出すまでも無くて、ここ8年くらいの間に石井淳蔵とか和田充夫とか片平秀貴とか、多くの論者が繰り返し指摘してきたことです。
この人の洞察力には結構はっとさせられることがこれまで何度かあって、割と好きな人なのですが、今回は少々キレがないな、と思いました。
インタビューの締めが無印良品ですが、深澤さんと原さんの鋭さに助けられたな、という印象ですね。無印良品は「「これがいい」じゃなくて「これでいい」」というブランドだ、と深澤さんが言ったそうですが、こういう洞察はほんとにすごい。現代の社会・経済・文化状況を的確に把握して、そこにブランドを位置づけた名人芸だと思います。
表紙が「デザインのデザイン」に似てるのも、このへんに引っ張られたからかな、と思いました。