2001年宇宙の旅

2001

この映画は、とても難しいですね。人生は旅のメタファーに喩えられることがありますが、「人はどこから来たのか?」という根源的な問いの解決の糸口を月面で発見し、それを探しに木星まで行った話、、、でしょうか。



かの有名なコンピューターのHAL(IBMの一文字ずらしのコンピューター)が乗組員を殺害するシーンが印象的ですね。



結局、あの石版が何だったのか?「人はなぜ生まれたのか?」という問いの解答を得ることは出来ませんでしたが、HALが乗組員を殺害した理由は自分の生命を維持するためだったところにヒントがあるように思いました。なぜ自分の生命を維持する必要があったのかと言えば、それはHALにだけ与えられていた極秘ミッションを遂行するためなわけです。自分の目的を達成するために他の存在を消す。それはとても生物的な行為であって、「人はなぜ生まれたか?」という問いの解答にはなりませんが、「人はどのような存在か?」という問いの解答にはなりえます。



大変難しい映画ではありましたが、ゆったりとしたアナログな映像と音楽を聴く中でいろいろなことを考えさせられました。



現代の撮影技術でこの手の映画を撮るのであれば、CGを使ってしまうんだろうな、という部分がすべて昔の手法で撮られているので、構図の作り方が秀逸ですね。



宇宙船の外で活動するシーンがありましたが、右側に大きく宇宙ポッドが、左側に宇宙船が配置され、その間を米粒のような大きさの人間が漂っている構図で、人の小ささが際立ってホントに怖かったです。





1968年 アカデミー賞

□ 特殊視覚効果賞 スタンリー・キューブリック