[]サブリミナル・マインド (1996)
Q:無意識はどのような構造で人の購買行動に影響を与えるのでしょうか?
カリフォルニア工科大学の下條信輔さんの本。最近買った新書ですが、よく見たらもう10年も前の本でしたね。これくらい有名になるとWikipediaに載るんですね〜。
高校生の時に、当時東大の駒場の先生をしていた下條さんの知覚心理学の事業にもぐって衝撃を受けた記憶があります。実験心理寄りの認知科学者ですが、広告関係の文脈でも発言しており、自分にとっては動向をチェックしなくてはならない重要な学者です。(あとがきで、「心理学者として「時代の人間観、精神観と切り結びたい」という止みがたい願望があり、、、」と言っていますが、そのひとつが広告関連への関心なんだろうと思います)
下條さんは、顕在・潜在の双方の意識を区別し、その相互作用を考え、心と行動を統一的に理解しようとする立場をとっていますが、このスタンス、いま同時に読んでいる中沢新一と極めて近いですね。
マーケティングの分野ではハーバードのザルツマンが、無意識の与える影響に取り組んでいるので有名ですが、マーケティング研究も確実にこの方向で知見を深めていくんだろうと思います。
この本の中では、新書ということもあり、前掲の質問への答えは出てきませんが、関連した知見がコンパクトにまとまっており、96年段階での知見をすばやく吸収するには優れた本だと思います。個人的にも、久しぶりに心理学のおさらいが出来ました。
・認知的不協和
→そういえば、これは購買行動に直結するんだった。値段に対する知覚とか。
・自己知覚
・情動二要因理論
→身体変化を「帰属させる」認知プロセスが存在する
・分割脳
→本人がまったく近く出来ない認知機能がある。脳は統一体ではなくサブシステムとして存在する
・カクテル・パーティー効果
→閾下での前処理が存在する
・サブリミナル・コマーシャル
→閾下でのサブリミナル効果の方が意識的な処理よりも効果がある!!
下條さんも比喩に関して言及していますね。因果関係では説明できない部分も含めて、消費者行動をモデル化していくことが必要ですね。