[]吠える犬は噛まない (2000)
最近、韓国の映画を大量に観ているのですが、韓国の映画は全体的にメリハリが利いていてわかりやすく入り込みやすいシナリオが多いように思います。先日観た、グエムルにしても、「アメリカ=駄目」「家族=大切」と、良いものと悪いものをはっきりと分けて表現していますね。かつエンディングを予定調和的であったり、勧善懲悪であったりするストーリーに敢えて持っていかないところが、完成度の高さの秘密のように思います。
さて、そんな韓国映画にあって、この映画はすこし難しい。
非常勤講師の主人公の痛さっぷりが結構きつくて、途中からいらいらしてくるのですが、この主人公、苦悩のあまり反社会的(反動物的?)行動に出てしまいます。これが一つ目の主人公の悪。さらにその上、妻の思いに気づかず怒りをぶちまけてしまう。これが二つ目の主人公の悪。そして、結局は妻の退職金を使い、裏金で教授になる。これが三つ目の主人公の悪。
でも、結局はものすごいハッピーになるわけでもなく、ものすごいアンハッピーになるでもなく、悩み多き日常は続いていくところで映画は終わります。
いずれにしてもすっきりとする映画でないことは確かですが、このエンディングの後味の悪さが、大物ぶりを匂わせるのも確かですね。