グエムル -漢江の怪物− (2006)

グエムル

モンスター映画は進んでは観ないのですが、シドニーからの帰りの飛行機の中で観た映画。





や、やばい、これ。 名作じゃーないですか!





モンスター映画で号泣。シドニーから成田に戻る間に3回も観てしまった。



さらに、今気づいたのですが、ついこの間見た「吠える犬は噛まない(2000)」と同じ監督の作品なんですね。言われてみれば同じテイストを感じます。エンディングの微妙な後味の悪さ、とか。



とにかく、脚本の構成がすばらしい。 いや、すばらしいかどうかは個人の好みになりますが、映画全体が明確に独立したパーツ、パーツの組み合わせで出来ているのがはっきりとわかります。この組み合わせがすばらしい。



例えば、反米感情。「アメリカ=身勝手」という明確なメッセージを様々なシーンに落とし込んで、モンスターから家族を救うストーリーの端々に挿入しています。これはシナリオレベルでのパーツとパーツの組み合わせ。(明確にイラク戦争を意識しています)



さらに、合同葬儀=本当なら悲しい場面、という明確なシーン設定の中に、「駐車違反は困ります!」という笑いを取る場面を挿入しています。これは、シーンレベルでのパーツとパーツの組み合わせ。(こんなシーン設定は普通ならすべるのが怖くて出来ない!)



もっと大きなレベルで見れば、「モンスター映画=スリル」という映画としての明確なカテゴリー設定の中に、「家族愛」というまったくなじまないテーマを挿入しています。 (まさかこんな号泣映画とは思わなかった。。。)



こういった、複数のレベルでのパーツとパーツの組み合わせが、意外性とコントラストを絶えず生み出す構造になっていて、結果的に最後まで飽きさせない映画に仕上がっているのだと思います。



この監督(ポン・ジュノ)、侮れません。