[]「成功はゴミ箱の中に」

成功はゴミ箱の中に

日本語訳が出たのは2007年1月でつい最近ですが、原著は1977年、その後の改変があったようですが、それが出たのも1987年ということで、すでに30年前の著作と言うことになります。



なぜ30年間も翻訳が出ずに居たのかは分かりませんが、とりあえず、誰でも知ってる「マクドナルド」をチェーン化したレイ・クロックの自伝です。



なぜ他のハンバーガーチェーンではなく、マクドナルドがこれほど巨大になったのかを分析的に語った本ではありませんが、「セールスマンとして実践の場で培ってきた勘と、主観的人物評価を頼りに突き進んでいくタイプ」と自らいうレイ・クロックの回想からは覚えておくべきことがいくつかあるようです。





「ビジネスは、一人では成功しない」という記述がありますが、今でもマクドナルドのメニューに並ぶ多くの商品が、マクドナルドのフランチャイズオーナーのアイデアから生まれたものであるという事実は面白いですね。



レイ・クロックは、直営店の比率を絶えず30%以下に抑えるようにしていたようですが、競争にさらされた各フランチャイズオーナーからの提案で多くの新商品が開発されてます。フィレオフィッシュシンシナティカトリック教区のオーナーがビックボーイチェーンとの対抗上必要とした商品で、ビックマックピッツバーグバーガーキングなどとの競争にさらされたオーナーが必要とした商品だったそうです。



現場からのアイデアを上手く掬い取った実例として分かりやすいですね。



中央と現地とのパワーバランスをどう配分するかというのは、いつの時代もとても難しい問題で、グローバルにマーケティングを展開する際に必ず議論になるのですが、マクドナルドのやり方は一つのケースとして面白いですね。



「愚直なまでにシンプルに (Keep it simple, stupid)」や、「低価格でバリューの高い商品をスピーディかつ効率的に、清潔で居心地のよい空間で提供する」という原則は、中央から徹底して管理しつつ、ローカルからのアイデアも積極的に受け付ける、という姿勢でしょうか。



「退屈率」のような考え方(退屈な街ほどマクドナルドが成功する可能性が高い)、もシンプルながら面白い視点だと思います。