[]団塊の世代(1980) : 堺屋太一

団塊の世代

1970年代に、当時発展した経済社会分析の結果を元に堺屋太一が書いた予測小説。



予測の精度はともかく(大体あってる)、とても痛い話。



人口動態にこぶを見れば、小学校の教室不足から、受験競争から、会社での多すぎるミドル、といった事象が起こることは予測できるわけですが、そうした局面における人の行動や感情を予測することは基本的に難しいはずです。



しかし、その辺が結構あってるところがとても痛々しい。



会社と共に生きてきた人が、ある日突然はしごを外される、というストーリーが続くのですが、その後の救いがそんなに無いんですね。唯一、電機会社からコンビニの店長に出された男の話で、最後にかすかな希望が見出されるほかは、かなーりくらーくなる話の構成になっています。



今年から団塊世代の大量退職が始まりますが、くらーい話だった大きな原因が仕事とアイデンティティの同一化にあったわけなので、これを克服できなかった団塊の世代の人々はちと辛い余生を送ることになるんだろうなあ、と思います。