[]将来を予測する

頭脳労働の付加価値って、将来を予測出来るかどうかにかかっていると思います。





「施策を作る」という仕事は、将来の環境を前提にしているわけだから、当然その環境をどう読むかが施策の鍵になるわけです。







今日、とある担当商品のひとつの今年のマーケットと2012年までのマーケットの読みに関して、外部のコンサルとミーティングを持ったのですが、ちょっと彼らのマーケットの読みが甘かったので議論になりました。





議論になったというか、怒ったんですが。。。





僕らの質問はとてもシンプル。





「今年の下期のマーケット規模をいくらで読めば良いですか?」

「2012年までのマーケット規模をいくらで読めば良いですか?」





それだけ。





ま、聞いておいてなんなんですが、こんなことを聞きながら、正確な答えは出ないだろうな、と思っています。



完璧なロジックで、完璧な数字を出してくれるのなら、それは非常に助かるのですが、ま、そんなことは絶対にムリというのはわかっています。将来について正確に語ることが出来るのは、神様とか、超能力者とか、なんだか良くわからない宗教指導者とかだけでしょう。







将来について聞いている我々が期待しているのは、実は過去の分析なんです。人間に出来るのは、事実として点在している過去の情報を集めて、そこから将来に繋がるベクトルを導き出すことだけです。



マーケット予測の計算式なんて、そんなに多くのパターンがあるわけではないのだから、一定のところまではフレームワークに従って計算し、そこに担当者のセンスとヒラメキの要素を足して、幾つかのバリエーションを出せば、それで充分納得できる数字が出ると思います。





今日のコンサルの人々は、その過去の分析がアマアマでした。





2年前と去年を比較すると何が変化しているのか。その中に今年以降に繋がる要素はあるのか。ブランド別、チャネル別に分解するとどのようなユニバースが見えるのか。消費者から見た場合はこの商品群はどう見えるのか。それは去年と今年とでどう違うのか。





過去や現在の、「ある瞬間」の競合や顧客の状態を知っても将来を予測することは出来ません。しかし、3年前と2年前、2年前と1年前、というように、時間における点と点を結ぶとベクトルを描くことが出来ます。



そのベクトルはどちらを向いているのか。どれくらいの強さなのか。過去から導き出せるのはここまでです。後はそのベクトルを見つつ、将来を「想定する」ことになります。



世の中はあまり単純ではないので、色々なベクトルが存在します。それらのベクトルの中から、自分に関係するベクトルを選び出し、それを統合するところで神業的なセンスが要求されると思います。この領域は正直ロジックではどうにもならない。だったホントに勘なんだもん。



けれど、ベクトル空間を定義するところまでは確実にロジックが必要だし、それが出来ないのならば頭脳労働の付加価値はゼロだと考えた方が良いと思います。





今日の人達はそれが出来ないようでした。





正直、もう時間が無いので、僕らの分析に必要な過去のデータの一覧を伝え、残りは自分達で考えることにしました。





なかなか頼れる外部を探すのは難しい。