[]クライマーズ・ハイ (横山秀夫 2006)

クライマーズハイ




日航機墜落を題材にしていますが、この事故については実はほとんど書かれておらず、あくまで群馬の地方紙に勤める記者、悠木の仕事と家庭における心の葛藤が語られていきます。



1985年当時の日航事故全権デスクを任された1週間と、それから17年後の衝立岩登頂の日の二つの舞台をブランコのように往復する中で、悠木の心の葛藤も仕事と家庭の二つの舞台を螺旋階段のように登っていき、最後にひとつの解に到達していきます。



ジャーナリズムとは、という根源的なテーマについて語っているのですが、自分にとってはこの悠木という記者の心の陰翳を浮き出していく文章とストーリーの流れにいたく惹かれました。



風邪の中、寝る前にちょっと読み始めたのですが、結局深夜までかかって読みきってしまいました。



秀作。