[]Three Short Works (The Seven Deadly Sins, Carmen, DGV)
オスロのアップデート終わってないんですが、昨日観たバレエがかなり良かったので忘れないうちにアップしておきます。
残念ながら昨日のものが最終公演だったのですが、同じプロダクションのものがあったら是非観に行くことをお勧めします。
バレエのShort Works3本。
個人的には、Mats EK の Carmenを楽しみにしていたですが、そのほかの2本もとても素晴らしい出来でした。
1本目の"Deadly Seven Sin"は照明の出来がとんでもなく素晴らしかった。幕が開いて大きな満月の照明をバックに二人のAnnaが踊るところから鳥肌。ミュージカルの要素が強いバレエでしたが、非常に良かった。
で、Carmen
ビゼーのカルメン自体もとても好きなオペラなのですが、これを題材に Mats EK がどういう表現をするんだろうと期待していました。で、2本目がこれ。期待通りの素晴らしい出来でした。
この人の振り付けは、本当にばかばかしい細かい体の動きを、高いバレエの技術で大真面目にやるところにあります。
ほんとに変な体の動きをするので最初は笑ってしまうんですが、これが不思議なことに、観ているうちに、彼が表現しようとしていることが舞台空間上に吹出しのように浮かんできます。
声は空気を振動させてその意味を相手に伝えますが、この人のバレエは体の細かい動きの連続で観客に意味を伝えます。足先から頭までの動きすべてが、言語体系を備えていて、しかもこの言語体系はユニバーサルな言語なので、誰が観てもその意味が伝わってきます。
特に男女の感情の絡みの表現は秀逸ですね。
映画やテレビドラマはストーリーの展開、すなわち時系列で出来事を追っていくことで感情を表現しようとしますが、この人のバレエは時系列を一切取り払い、「心のひだ」一つ一つを体の動きに変換することで感情を表現しようとします。
このテクニックは本当に素晴らしい。
元ネタのカルメンは、大規模なセット、大勢の出演者で大々的に盛り上げる類のものですが、Mats EK のカルメンは非常にシンプル。屏風みたいな板が数枚と、金属の球がひとつ置いてあるだけ。
だけど、紛れも無くカルメンでした。
いやー、ほんとに素晴らしい。
そして、最後のDGV。お客さん的にはこれが一番受けてました。
1990年代の作品だと思うんですが、フューチャリズムの香りがするバレエでした。
TGVっていう高速鉄道がフランスを走っていますが、メカニカルなものが高速で動く、ことを表現していました。
テーマは大変単純だと思うんですが、何せ正確に動くメカニカルなものを人間の体で表現しないとならないので、これは非常に高い技術が必要なはずです。しかも高速鉄道なのでスピード感が強調されていました。
古典の演目が多いRoyal Opera Houseですが、こういう演目、もっとやってくんないかなー。