[]フロー体験 喜びの現象学 (M.チクセントミハイ 1990)

フロー体験




「人はどのような時に幸福を感じるのか」という単純かつ根源的な問いに対して、「最適経験」という心理的枠組みから回答を出そうとした書です。



後半は、心理的な枠組みを説明するのではなく、人生をいかに良く生きるか、という啓蒙書の要素が強くなってくるので「これは学問の書か?」と「???」マークが頭の中で強くなってきますが、議論の枠組み自体は大変参考になります。



「達成可能な困難な課題に取り組み」、「心理的エントロピー状態ではなく」、「目標が明確でフィードバックがあり」、「深いけれども無理の無い没入状態(フロー)にあり」、「自己を統制している感覚がある」、「時間感覚が変わるような状態」にあるときに人間はより強い幸せを感じる、としています。



ただし、このフロー状態に入れるようになるためには、自己の訓練と環境面での整備が必要で、誰でもいつでもこのような状態になれるわけではないところが人間の悲劇の根源なのかもしれません。



能動的な努力を強く要求するため、教育関係のプログラム、顧客関与の高いサービスのデザインなどを考える際に参照できる議論だと思います。