[]売上予測はどうして外れるのか
結構時間をかけて作るわけですが、これが結構外れる。どうしてでしょうか。
商品特性にもよりますが、売上予測を作るロジックは私が知る限り大きく下の4つくらいがあるかな、と思います。
1.直近の売れ行きから判断する
2.自社の過去実績など、類推可能な例から想定する
3.マーケット規模と想定マーケットシェア、市場在庫などの変数をシミュレーションにかけて計算する
4.直感に頼る
自分の売上予測の作り方のパターンは、まず1のやりかたで「たたき」を作り、次に3から計算した数字と1の「たたき」を比べて1を修正し、最後に2の数字と比較しておかしな点が無いかどうかを確認します。
もうこの仕事2年近くやってますが、作るたびにちょっとづつシステム化していて、ま、最終的には、完全なる自動計算は出来ないので、結局のところ4の直感に頼ることになるんですが、どうしてそういう数字になったのか説明してと言われてもそれなりに説明できるようになっています。
それなりに一生懸命やっているのに、じゃあ、どうして外れるのか?
(合理的なはずす理由)
・予測もしない環境変化が起きた
・経済危機でマーケットが想定を大幅に下回った
・競合が想定しない行動に出た(新商品、新価格、など)
・予想もしない自社都合
・商品に不具合が出た
・セールスが辞職した
・事故で出荷が遅れた
要するにに「想定と違うことがおきた」というのが合理的な理由です。これは仕方ない。ビジネスは不透明な未来を相手にやっているので、いくつものAssumption(想定)を決めて先々のプランニングをしていきます。なるべく外れないようにAssumptionを決めていくんですが、それはAssumptionでしかないので、どうしても外れることがある
重要なのは、想定と違った場合はどうするのか、というContingency Planを絶えず用意しておくことだと思います。
この辺は「失敗の本質」に色々と書いてありますね。
これに対して、合理的ではない理由というのがあります
(合理的でない理由)
○自分の意思で妙な数字を入れている場合
・無理だとはわかっていたけれど、上司に怒られるから数字として入れといた
・査定に影響するので、わざと低めの数字を入れておいた
○自分の意思ではない数字を入れる場合
・セールスがこれだけ売れると言ったので入れた
・その数字を入れないとサプライが来ないのでとりあえず入れておいた
一番大きいのは「人事関係」の理由。会社の中の政治的なパワーバランスに配慮を始めると大体予測が狂います。
後は、人任せにしてしまう場合。販社がこう言っているから、とかセールスがこういっているから、という数字を入れると外れる。
こういうのって正直、組織論とかコーポレートカルチャーの領域だと思うんですよね。こういうコーポレートカルチャーって、何が良くて何が悪いという判断が難しいと思うんですが、そういう価値判断ってきっちりとやったほうが良いように思います。
ある会社が高利益体質かどうかとか、資本運用効率に優れている、とかそういう指標は数字で客観的に評価することが出来ます。エクセレントカンパニーがどうしてエクセレントなのか、を解読するという試みはよくなされますが、コーポレートカルチャーのような質的な要素はいつも説明変数として扱われます。
これ、わかるかな、言っている意味。
Y(良い会社)=X1(コーポレートカルチャー)+X2(財務体質)+X3+X4+B+E
のように、良い会社である原因のひとつ(説明変数)としてコーポレートカルチャーは扱われますが、Y(被説明変数)としては扱われません。
そうするとどうなるか、というと、良い会社を作るという最終目的の要因のひとつとしてしか扱われなくなるわけです。
この思考スタイルには問題があると思う。
ここで思考を反転させてみると、違う企業分析の思考が出てきます。すなわち、
Y(コーポレートカルチャーが良い)
→ 強い組織になる
→ エクセレントカンパニーになる
→ 従業員のモチベーションが上がる
→ 人間の幸福につながる
のようなことです。現象の原因を線形に把握しようとするのではなく、ある要因が複数の要因へ波及していく社会動体のモデルが出てくるわけです。そしてこれが結構重要。
販売予測の話をしようと思ったら、なぜかモデルの話になってしまった。ま、人間の思考っていうのはこういう風に連想していくもんですな。