[]PICASSO: Challenging the Past (National Gallery : London)
ナショナルギャラリーでPicasso展をやっているんですが、テーマ的には去年オルセーで観たPicasso展に近くて、Picassoの過去の芸術を題材にした作品を色々集めて展示しています。
土曜日に行ったんだけど、結構混んでいた。
オルセーのものは、Manetの"Luncheon on the Glass"を基にしたPicassoの作品を集めたものでしたが(この題材だけで、Picassoは40枚くらい絵を描いているので、それだけで充分企画展が出来てしまう)、今回のNational Galleryのものは、その他の題材も含んだ展示になってました。
今回特に観たかったのは、↑のVelazquezのLas Meninasを基にした一連のPicassoの作品群。元の絵はプラドにあるんだけど、この絵自体も結構面白いので、これをPicassoがどう解釈したのか、興味深深で行ってきました。
で、その結果がこれ↓
はっはー、と。
これね、すごいと思うんですよね。
Velazquezが元の絵を描いた時、多分、頭の中はこんなんじゃなかったかと思うんですね。左側にキャンバスを目の前にしたVelazquezが居るんだけど、Picassoにかかるとこれがものすごい長身の画家になっていて、絵全体を支配する存在になっています。
元の作品だと、当然フィリップ4世とその家族のために描いているわけだから、左側にいる画家は目立たぬ黒の色で大きさも適切に描かれているけれど、本当はもっと存在感があるんじゃないか、と。それが見事な強調になって表現されています。
対照的に、右下に居る犬とか、ひどいね。元の絵では精悍な狩り犬だけど、Picassoの絵になるともはや落書きにしか見えない。
こういう注意の向け方が、Velazquezが元の絵を描いた時の本心の表現だったように思います。
それにしても、つくづく、芸術とは事象の再解釈なんだということを感じました。それが過去の題材であれ、現在の事象であれ、それをアーティストがどう解釈して再構築するのか。
僕にとって、芸術を観る意味はここにあります。
Picassoの絵は、そういうことを再確認させてくれます。
今回のナショナルギャラリーの企画展は、規模的にそれほど大きくないので、まとめ方に散漫さがなんとなく感じられますが、結構面白いのでまだの方は是非に。
6月7日まで。