[]ストック型社会における商売、とは

ストック型社会とフロー型社会という話があります。



1972年にローマクラブが「成長の限界」という警告を発しました。あまり公な話題として最近出てこないのが不思議なのですが、20世紀後半の人口と産業の膨張傾向の結果、資源が枯渇して大変なことになるという話です。



実際、水銀、銀、スズ、鉛、などは埋蔵量の80%以上が採掘済みで、このままの膨張傾向が続くと21世紀のどこかのタイミングで「突発的に」人口減と産業の衰退がおとずれる、としています。



昨今、地球温暖化が問題とされていますが、環境破壊とともに、資源の問題は商売をするものとしては非常に見通しが気になるところです。



産業革命以降、生産→消費→発展というフロー型の社会でやってきたのですが、今の資源状況を考えると、このフロー型社会の仕組みは近い将来に破綻します。



日本のお家芸である製造業。「ものづくり」というとなにやらロマンを感じて聞こえは良いですが、基本はフロー型社会の典型的なプレーヤーで、基本的な方針転換をやがて余儀なくされるはずです。



今現在売上が落ちているのは、昨年以来の経済危機のせい、とされていますが、根本的にモノが売れなくなる時代が来るということを覚悟したほうが良いはずです。



人々のライフスタイルは、「使い捨て」から「大事に使い、不必要なものは買わない」に移行していきます。モノが売れるのは、商品に対する飢餓感にあふれた途上国に限られていき、そのため日本の製造業企業の海外構成比では先進国の割合が落ちて行くと思われます。ただ、資源・エネルギーの問題はグローバルなものなので、途上国においてもこういう状況も長くは続かず、次第に縮小均衡していくと思われます。



今まで3年使って廃棄、というのが消費パターンだったとすれば、近い将来は6年使ってリサイクル、というパターンに変わると思われます。当然経済における製造業の比率は下がるはず。



ただし、人間の時間はいつの時代も24時間で、かつ幸福を追求する基本姿勢は変わらないので、モノの消費はサービスの消費へと変化していくと考えられます。



ここがストック型時代の商売の中心になるはずです。具体的にそれは何かという話は色々あると思いますが、こういう基本的な見通しを持って仕事をすることが重要だと思います。