[]日本の製造業の生きる道

ちょっと生意気を言いますが、日本の製造業は将来のグランドプランを描き直した方が良いように思います。



各社ともどうも状況の分析とそれに根ざしたグランドプランの描き方が甘いように思います。



ポイントは、



1.世界の多極化とそれに伴う途上国市場の勃興

2.先進国のモノ消費離れ



です。





「ものづくり」というと本当に聞こえは良いのですが、この経済活動は詰まるところ、物質の消費活動です。ヨーロッパに居るので、ちょっと前までの東欧諸国を見て理解しているのですが、この物質に対する渇望に近い消費欲求を持っているのは、経済的に発展途上にある国の人々です。



対照的に、先進国の人々は急速に物質消費文明から距離を置く方向に進んでいるように思います。これは、物理的に資源の限界が明らかな問題として現れる瞬間が刻一刻と近づいている為で、現在はゆっくりとした傾向ですが、この先反転することは無いでしょう。



すると、「ものづくり」で生計を立てるためには、おのずと途上国を主軸に置く必要が出てくるのですが、このマーケットの攻め方を日本の製造業は間違っているように思います。



先進国スタンダードの製品を多少スペックダウンして導入しようとするので、基本的な戦略はスキミング(富裕層からの浸透)になります。



これは大変危険。



戦後の松下電気の水道哲学や日系の車メーカーがそうであったように、爆発的な成長は下の層からやってきます。長い間、消費を渇望してきたマスの人々の手に届く低価格商品を供給することで成長は爆発します。高品質なものをいかに低価格で提供するか。これが、かつての日本企業の成功パターンだったはずで、スキミングはたまたま手にした現在のハイエンドのポジションからの意思の無い延長線にすぎません。



今、日本企業が相手にしていない中国やインドの製造業は、日本企業にとって破壊的イノベーションになる可能性が高く、きわめて危険です。



もし、日本の製造業が将来的にもものづくりで生計を立てたいと思うのであれば、この下のマスの層での戦いを放棄するべきでは無いと考えます。