[]My sister's keeper (邦題:私の中のあなた 2009)

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白血病の姉を助けるために、意図的に生まれたアナは生まれてから臍帯血や骨髄などの提供を行ってきたが、13歳の時に肝臓移植を拒否して両親に訴訟を起こす。



臓器提供者として生まれてきた主人公という特殊な存在を持ってくることによって、生殖医療と人権、親と子の問題の二つの問題を同時に定義している作品です。



生殖医療に関しては、これはアメリカならではの発想というか、折に触れて映画のテーマになりますね。生き延びる人間の欲望を自分のクローンを作ることで満たそうとする未来の世界を書いた「アイランド」とか。



今のところは、これらの発想(自分が生き延びるために生殖技術を使う)は駄目だ、というのが映画の結論になっています。しかし、これは、その対象(アナであったりクローンとして生まれたトムやサラ)が通常の人間と同じような人格を持つ個人として描かれているためで、例えばこれが意思の無い人の形をしていない物体を生殖医療で作る(例えば肝臓を培養する、とか)、というような方向に技術が進歩すれば、おそらく何の問題も無い、と判断されるのだろうと思います。



昔、森岡正博さんが「それでも生き延びたいという人間の欲望を直視しないと駄目だ」というようなことを言っていましたが、病気を治す、寿命を延ばす、基本技術があるのであれば、それは今は「人の形をしたもの」として作らなければならないのかもしれないけれど、きっと技術進歩が起こって「人の形をしていないもの」として作ることが出来るよう変化していくことと思います。



なので、この映画の問題設定は、きっと30年後には成立しないのではないかと思います。