[]オバマ大統領が来日したそうで、

オバマさんが来日されたそうですね。サントリーホールでの演説を聞きました。



感想としては「日米間のイシューが無いんだろうな」でした。



折に触れて日米関係を口にしていましたが、「協力していく」といった表現以上に具体的に日本と何をしていくのか、という発言は無く、スピーチの内容もアジア各国との関係についてや、環境、核根絶など政権の基本スタンスに言及するに留まっていました。



今週のEconomistのアジア情勢のところをパーッと読みましたが、日本に関しては沖縄の基地問題が挙げられていますね。沖縄基地というのは日本人が思っている以上に地理的に米軍にとっては非常に重要だ、という話を聞いたことがあり、その戦略的拠点に関わる事項だけに関心が集まるようです。



それ以外だと、やはり世界的な関心は米・中関係にあるようです。リー・クアン・ユーが拡大する中国の軍事力に言及してアメリカにその牽制を要求したという話が出ていて、アメリカはどうするのか、という点が出ています。



ただ、オバマ政権はG8からG20への移行を積極的に推進しているように、米国の単独覇権主義を放棄する方向に動いているので、この先世界各地での軍事展開をどうするのかはちょっと読めない部分があるように思います。





日本に関してはあまり言及の無いオバマ大統領のスピーチでしたが、これは要するに利益相反する問題が日米間にあまり無いということ何だろうと思います。「Japan Passing」みたいなことを言って嘆く論調もありますが、これはなんか親に無視された子供がダダをこねているようにしか見えない気がするのは僕だけでしょうか? 特に問題が無いっていうのは逆に良いことなのかもしれません。







ちょっと気になった点が一つ。



今回のスピーチの中で、アメリカの消費は今後縮小するので、アジア圏が商品を作って輸出し、それをアメリカが消費することで経済を拡大させる仕組みはもう機能しない、と明言していました。



正直、かなり弱気の発言に聞こえました。というか、大丈夫なのか、と。



ちなみに、この仕組みは大前健一さんがかなり昔に「ミツグ君システム」と呼んでいた経済循環で、要するにアジア各国はモノを作ってアメリカに輸出しドルを受け取るんだけれど、そのドルは米国債などの形でアメリカに戻っていってしまう、という循環の仕組みでした。要するにアメリカはドルをじゃんじゃん刷っていれば世界中の優良商品を買えるし、そのお金はアメリカに再投資として帰ってくるので国は繁栄する、という仕組みです。



いま、問題になっているのは、こういう仕組みで刷りすぎたドルの存在に世の中が疑問の目を向け始めていることで、これが「ドル崩壊説」の根拠の一つになっています。(だから、いまさら「ドル=50円」時代の到来、なんて特集を組んでいる日経ビジネスタイミングのセンスが無い、と思うのです)



オバマの発言は、ちょっとこの問題に対するギブアップ宣言に聞こえました。 米国市場の縮小 → 貿易におけるドル使用の相対的な低下 → ドル機軸通貨機能の縮小 → すでに刷っちゃったドルをどーすんだ問題 → ドル崩壊、というシナリオが本格化しそうな予感を感じました。



なかなか厳しいですね、オバマ大統領。