[]3Dは家電メーカーを救わない





少なくとも長期的には救わないでしょうね。



本当はものすごく難しい技術なのかもしれませんが、なんど聞いても3Dの技術自体がブラックボックス化されていて、新興国のメーカーがすぐに真似できないものだとは思えません。



もちろん、細かい優位性はあるのでしょうが、例によってお客さんにはわからないレベルの話なんだろうと思います。



とすると、3Dは一時的な買い替え需要と単価アップには貢献するのでしょうが、長期的には価格下落に巻き込まれて今の液晶と同じ運命をたどると考えるのが普通だと思います。すでに台湾・中国勢の3Dテレビも出ているようなので、初期の一番美味しい買い替え需要を日本メーカーが取れるかどうかも怪しいように思います。





ただ、ソニーだけはちょっと事情が違うようで、個人的には3Dがあの会社にどういう影響を及ぼすのか興味深く見ています。





ハワード・ストリンガーが何者なのかって、実は日本のメディアを見るよりも海外メディアを見たほうが良くわかります。おそらく、海外メディアの方が彼に対して同情的な視線を送る傾向が強いためだと思うのですが、日本の言説だけ見ていても、何をやっている人なのか良くわからない。



この間、WIREDを読んでいて、ああ、なるほどね、と思ったのですが、ソニーの3Dへの取り組みは2つの意味があるようです。 一つは、事業部間のサイロを壊す装置として期待されていること。もう一つはネットワークサービスで儲かる仕組みを作る契機とすること。



3Dは、ソニーの多くの事業を巻き込む領域で、それゆえにソニートータルで3Dを訴求しようとするとおのずと事業部間で連携を取る必要が出てきます。その中にはピクチャーやSCEも含むので、3Dを本気でやればやるほど、積年の課題といわれてきた縦割りの弊害を緩和することが出来るかもしれない。



もう一つは、最初に言ったように、3Dはセットで設けようと思っても絶対無理で、儲かるビジネスモデルを作るにはどうしてもネットワークサービスと連結させる必要が出てきます。



3Dコンテンツの供給窓口を今のうちにかっちりと作りきって押さえることが出来れば、そこを通っていくコンテンツに微量の課金をすることで継続的に設ける仕組みが作れるかもしれない。ソニーはPS3をその窓口として使うことが出来るので、サムソンと比べてもそこは非常に有利ですね。



ハードとサービスの融合、さらに優れたUI。日本のメーカーがなぜかめちゃくちゃ苦手な領域の話なのですが、ここまで負け続けてきて、せめて最後の一勝はしてほしい。



そういう意味で、期待をして見守っています。