[]生まれ出ずる悩み (有島武郎)

小さき者へ・生れ出ずる悩み2



画家としての才能を持ちながら、漁師として生活をしている青年を作者である文学者が見守り、その生活を描写していきます。

北国での漁師と捨てきれない芸術への思いとの間で引き裂かれる青年の苦悩が、一文一文から手に取るように伝わってくる文体でした。

僕には芸術家としての苦悩はありませんが、そこに居て日常を送りながら、やっぱり何かが違うという思いは常に持っていて、そういう自分の内面が小説に強く共鳴するのを感じました。