[]ヰタ-セクスアリス (森鴎外)

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どういう理由で鴎外はこの小説を書いたか、という問題はおいておいて、僕はこれを読みながら、明治時代の青年の成長過程に想像力を働かせていました。



親元を離れて、宿舎で生活をし、様々な社会経験を積んでいく様子が良くわかりました。この本、性生活に関する自己回顧的な記述が当時としては表現として実験的だったのだと思いますが、僕はどちらかというと、昔の帝大のエリートがどのように成長していくシステムだったのかを考え、面白いな、と思いました。



日本人の民度について、やっぱりちょっと低いんじゃないか、という話があります。一方で、国を引っ張るエリートのレベルが高いか、と言われると、これもちょっと疑問符。こういう状況に陥っているのは教育などのシステムが問題なのか、そもそもの人の能力の限界なのか、など色々考えるのですが、明治以降国を動かしてきた人材がどのような仕組みで排出されていたのかということにとても興味があります。



時代背景も解決すべき課題も異なるんだけど、どういう教育システムが理想なのかは、きちんと自分の頭で理解をしたいと思っています。



最後の10ページくらいは、「舞姫」に繋がるエピソードが簡単に書いてありました。青空文庫の「舞姫」は旧字体でちょっと読みづらかった記憶があるのですが、次は「舞姫」を読んでみようと思います。