[]「7人の侍」が2010年の日本に与える示唆
ファーストリテイリングの柳井さんは日本のグローバル化に関して、「心のちょんまげを切れ」と言っているそうですが、「7人の侍」を見ていて、きらなければならないのはちょんまげではなくて体に染み付いた百姓根性の方だということを確信しました。
この映画を観て、あ、百姓ってこういうことか、と気づき、また、ここに出てくる百姓って自分そのものではないかと思ってしまった。さらに言うと、いろんな組織の人々を観察して「この国は百姓だらけだな」ということに気づきました。
ここで描かれる百姓の特徴は、
・根本的に人に頼ろうとする
・武器を取り上げられ、自立して生活する主体としての自覚を失っている
例)7人の侍が村に来たとき、家に閉じこもって挨拶もしなかったくせに
野武士の襲来の鐘を聞くや「お侍さま〜!」と飛び出して助けを求める
・頭を使う前に、肩を落とす
・問題が発生した時に、それをどうやって解決するのか考えず、みなで集まって
ただ途方にくれる。
例)映画のオープニングでの村の集会の様子。円陣を組んでただ肩を落とす
・定型業務(=農作業)の知恵だけは達者
・作物を作る知恵は過去からの改善の蓄積があって得意
例)「タネの良し悪しは見分けられっけど、侍の良し悪しは見分けられねーだ」
これって日本の組織ですごく良く見ますね。
あー、なるほどー、日本人の組織っていうのはこうやって野武士(=外敵)に搾取されていたんだー、ということがやたらクリアーに腹落ちしてしまいました。
しかし、面白いのは野武士集団を全滅させた後、エンディングで島田勘兵衛が「また、負け戦じゃったな」「勝ったのは百姓たちじゃよ」というところ。
外部のリソースを上手く使うことで百姓はしたたかに生き延びる、と解釈することもできるし、アメリカに「刀狩」をされた戦後日本の生き様と意地を黒澤明が表現したかったのだ、と解釈することもできます。
これはなかなか気づきの多い映画。 長いけどまだ観ていなかったら是非観てみることをお勧めします。