[]この秀逸さはトレインスポッティング譲りか? (「スラムドック・ミリオネア」)
あーーーー、これは非常にすばらしい。
この映画が表現しているのは、つまらない言い方をすれば「目標達成に執着することの強さ」ということだと思うのですが、それをインド、しかもインド版ミリオネアという特殊な舞台を表現舞台として選択したセンスの良さがすばらしい。本当にすばらしい。
対照的な性格を持つインド人の兄弟が物語りのテーマを語る中心になります。スラム出身の兄弟なのですが、兄は子供の時から小金を稼ぐことに執着するのに対し、弟は目標を達成することに執着します。 印象的なシーンに、有名な映画スターのサインを貰うために弟がボットン便所に飛び降りるシーンがあります。
これ、文章で書いてもわからないと思うので、是非作品を観て欲しいのですが(ただし、食事中に観てはいけない)、あのシーンでの兄弟の行動の対比は、その後の場面のすべてで繰り返し繰り返し登場します。
弟がミリオネアに出演するのは幼馴染の恋人に会いたいという目的を達成するためで、お金にはまったく執着していません。一秒でも長くテレビに映るために、獲得賞金を失うリスクを最後までとり続けます。
この一途な執着心が、めまぐるしいスピードで変化するインド社会のイメージと合わさって増強され、非常に強いインパクトで心に迫ってくる。
そこがこの映画のすばらしさだと思います。
トレインスポッティングを観たときのような、なんかよくわからない懐かしさを感じました。
これは素晴らしい映画。