[]テレビに明日は無い、、、けど明後日はあると考えて欲しい (日経ビジネス「テレビ明日なき戦い」)
「テレビ事業を安楽死させるべきなんではないか?」という論点が検討の優先順位を上げているようですね。 理由はいうまでも無く、過去・現在と儲からず、この先も儲かる見込みが立たないから。価格が最大の差別化ドライバー(=つまりコモディティということ)で、そこから抜け出す展望が見えないため、こういう論点が出てくるだろうと思います。
ですが、これって本当に今検証すべき論点なんでしょうか。
この先、パネルの供給がだぶつき、誰でも最も競争力のある価格で部材が調達でき、アセンブリーは他社に任せるのであれば、かなり軽い組織でセット自体は作れるのだろうと思います。
今の事業が苦しいのはわかりますが、
・本当に必要なヒトとカネの投入量はどれくらいなのか?
・投入量をそのレベルに絞った場合に勝算はないのか?
・最強の開発体制とはどのような体制なのか?
・組織構造はどうあるべきなのか?
・意思決定スピードの目安をどう置けばよいのか?
・その開発体制に変革するにはどうすればよいのか?
・この先の勝負ポイントはどこなのか?
というような論点は検討しつくされて、それでもやっぱり駄目だという状況ではないように思います。
実際にはまだ日本企業が勝つための絵を描く余地はあるように思います。というか、そういう絵は、内部のわかっている人の頭の中にはあるのではないかという気がします。
想像するに、業界があまりにも巨大で関わる人の数が多いので、シンプルな戦略の絵が中々実行プランに落とせないのだとは思いますが、それを腹をくくって実行するかどうかがマネジメントに求められることなのでしょうし、それができる有能なマネジメントは探せばちゃんと居るように思います。
今のテレビ事業には明日は無い(=明日はちゃりんちゃりん儲からない)のかもしれませんが、未来の人間の日常生活のシーンの中には、大きなインターフェース(それはきっとテレビという名前ではないものになっているはず)は今よりもたくさんあるはずで、それらを作るメーカーはなくなりません。
だから、今の苦境から「テレビ事業を安楽死させるべきなんではないか?」なんてことを考える暇があるのだったら、「やらなければならない、あの改革をどのように完遂するのか」という論点を考えるべきなんだと思います。
未来のテレビはどういうインターフェースとして人の生活の中にあるのか。その未来環境の中で一体どこにプロフィットプールが出来るのか。もっと長期のスパンで考えて今から手を打つべきことは一杯あり、そういう長期のビジョンの実現をしていくのが投資余力のある巨大メーカーのやるべきことだと思います。
将来の投資原資を今のビジネスから生み出すために、早く舵を切ってほしいものだと思います。