[]この国の財政と政治にどういう見立てを持つべきか?
50年後の歴史の教科書には、2010年〜2015年には歴史的転換を象徴するような出来事が並ぶのだろうと思います。いま、ちょうど起こっているエジプト革命なんて、絶対、世界史の入試問題になりますね、論述問題で。
「2011年のエジプト革命が、その後の中東での政治的・経済的変化にどのような影響を与えたか250字以内で論ぜよ。その際、トルコ、イスラエル、イランのそれぞれの語句を含めること」
とかなんとか。
そういう歴史的な転換が世界中で起こっているのが今なんだと思います。
日本の場合は、日本史の問題になるようなことはあまり無いかもしれませんが、政経の問題になりそうなことはこれから結構起こりそうで、発端はほぼ間違いなく国債の暴落(金利上昇)。
この話は、僕らが生きる将来の政治・経済・社会と密接に結びついているので、自分なりのしっかりとした見立てを持っておくことが必要だと思います。
僕はもうこういう風に理解をしているのですが、残念ながら日本では財政再建は進まないと思います。(逆に悪化する)理由は国民の理解不足。これは民主党の問題ではなく、今の公共サービスが当然(もしくは足りない)と思っている国民が大多数で、特に医療・介護等を必要とする高齢者層の人口が多いことがそもそもの原因です。
票を取ろうとする政治家は自然の流れとして、一般会計にしめる社会保障関連費用を温存しようとします。民主党でなくとも、当選することを考えると、人数が多く、投票率が高い高齢者層を優遇するのがあたりまえ。
高齢者層の人々は悪意はまったく無いのですが、歴史的に政治は政府と官僚にマル投げしてきたので、国のお金のことを自分の問題として認識することができません。
よって社会福祉関連費用は削減が進みません。高齢者の人口は年々増えるので、支出は年々拡大し、国の支出は増え続けます。
政治はこの流れを止められないので、かなり近い将来に、国債の発行高が国内の金融機関では吸収できない状況に陥ります。
そこから先はいくつか可能性があると思うのですが、
1.日銀が国債を買い支える
2.銀行、特に郵貯が国際買い入れを増やす
3.中国、米国、IMFなどが介入する
4.金利があがる
ということが起こるんだろうと思います。
1をやるとインフレになりそうですね。例外的に買い支えに入ることはあるかもしれませんが、継続して日銀が国債を買い続けるということは無いように思います。(参考:アメリカは連邦銀行が中国を抜いて米国債の最大保有者になってしまったそうですが、近い将来、米ドルは大変なことになりそうですね)
2もあまり余地が無いように思います。自分の取引銀行ってどれくらい国債を持っているんだろうと思って、有価証券報告書を見てみたのですが、集めた預金の20〜30%にあたる額が国債という形で資産に組み込まれていました。その他のお金は社債や住宅ローンや融資に回っていて、それを国債に変える余地はなさそうです。今後預金が増えることは無いので(逆に減る)、銀行は国債の引き受けはできなさそうです。(郵貯はあるのかもしれませんが。。)
手なりで行くと4になるんだろうと思います。そうなると、株価が下がり、景気が冷え込み、さらに税収が減ってしまうかもしれない。さらにそれが円安につながり物価が上がり、僕らの生活はちょっと貧しくなるかもしれません。
できればそうなる前に何らかの形で、「この国には金が無い」というコンセンサスが国民の中にできると良いのですが、もしかしたら、3のようなことが起こるかもしれません。中国が日本国債を買い支える代わりに財政削減の注文を出してくる、なんていうことが起こった日には、日本人は愕然として、おそらく政治がダイナミックに変わると思います。
日本は「黒船」のような現実を目の当たりにすると、世の中の「空気」が一変して雪崩を打ったように物事が変わる国だと思います。できればセンセーショナルな形で今回の「黒船」には来てほしいのですが、国債の暴落も「黒船」としての機能を果たすかもしれません。
「国に金が無い」
=売れる資産は売って借金返済に充てないとならない
=支出を減らさないとならない
・公共サービスを諦めなければならない
・政府を小さくしなくてはならない
=収入を増やさないとならない
・経済成長を促進する政策に集中しなくてはならない
・必要な増税はなされなくてはならない。
(税は考え方が難しいので、消費税を上げればよいという
話ではないと思いますが)
という当たり前のことを腹落ちするのに黒船を待たなければならない、というのはなんとも情けない話ですが、この先数年に渡っておきることはこんなものなのだろう、と思っています。
そういう時代に備えて個人として何をするべきなのか、という見立ても同時に持つ必要があって、こっちはかなり深刻です。20年前に戻れるなら、きっと違う人生の選択をしただろうなあ、と思います。 いまからできることを全力でやって行くしかないわけですが。。。