[]30年後の「ディア・ハンター」 (「告発のとき」を観た)

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イラクに派兵された息子が帰国後に死体で発見される。その真相を追った刑事と父親が発見した真実とは、、、



アメリカってどうなっちゃうんですかね。人の国の心配する前に自分の国の心配をしろよ、という話もありますが、アメリカが相当苦しい状況に突入しているのは周知の事実になってしまいました。映画の中でアメリカ国旗を逆さにつるすシーンがありますが、今のアメリカの袋小路感をうまく表現していると思います。



この「袋小路」感、1978年のマイケル・チミノの「ディア・ハンター」のエンディングとかぶります。(ちなみに、僕は何回観ても、ロバート・デ・ニーロクリストファー・ウォーケンベトナムに迎えに行って、そこでロシアンルーレットをやるシーンで涙が止まらなくなる)



ディア・ハンター」では、ロシア移民の登場人物達がエンディングで弱々しく"God Bless America"と歌います。アメリカの何かがおかしくなり、もうベトナム戦争前には戻れないということを強く印象付けるものでした。「告発のとき」のエンディングも同じで、アメリカ国旗が逆さにつるされるシーンは、アメリカがもう911前には戻れないということを強く印象付けます。



どちらも未来に希望を持たせるものではありませんが、逆に言えば、それは映画を通じた国の危機の認識表現なんだろうと思います。アメリカというシステムは、相当まずい状況に追い込まれつつあるのは事実だと思いますが、同時に、アメリカの中には、それを冷静に受け止めて次に繋げていこうとする冷静な知性もありそうだ、ということを感じさせる映画でした。