[]金融業とは何なのか("Inside the Job")

Inside Job




昨日、ファンド出身の人とちょっと話をしていたんですが、「最近のファンドビジネスの苦しさは手ごろな投資案件がないこと」と言っていました。



成長しそうな領域、会社はあるものの、基本的に世界的な金余り状態になってしまっているので、数少ない成長案件には投資家が殺到し、企業価値が馬鹿みたいにあがってしまっているのだそうです。実力以上の価格になってしまっているので、高い買い物になることが多く儲からなくなってしまっている、とのこと。



地場の細かい案件に入っていいってハンズオンでやっている中小ファンドはまだ良いみたいですが、大手は軒並み厳しいという話をしていました。



ただ、いかに厳しいとは言え、僕の金融業界のイメージってやっぱりこういう投資行為のことなんですね。「お金が必要なところに、いかに金が回るような仕組みを作るか」という。



ところがこの映画が語っていることは、「金融業界はそんな夢やロマンや性善説では動いてないよ」ということです。金融業界は、実体経済から遊離した複雑な金融商品を作り、政治やアカデミーの世界を支配し、人を欺いてでも儲けようとする。とにかく強欲に金を稼ぐことしか考えてない、というのが映画のシンプルなメッセージ。



今週、実体経済のヒーローのスティーブ・ジョブスが亡くなりました。革新的なモノやサービスでビジネスを作る人が居る一方で、そういう実態経済とは関係ない所で儲けの仕組みを作る人が居ます。



後者の影響力が非常に大きくなっている現在の状況で、ジョブスの死がなにやらきな臭い歴史の動きの象徴的な出来事にならなければ良いな、と強く思います。