[]人の成長を考えさせられる(「「おじさん」的思考)

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なんだか判りませんがこの本は響く。(自分が「おじさん」年齢になったからという話もあるが)



なんでだろうとちょっと考えたんですが、それはやっぱりこの本に収められているいくつかの話が、「人としての成長」を題材として扱っているからなんだろうと思います。



具体的には、大学におけるセクハラ問題を語ってるのかと思いきや、、、



・人間の欲望の根源は「他者の欲望」を欲する「欲望の欲望」(ヘーゲル)にあり、

・エロスとは「知を愛すること」(プラトン)であり、

・大学においてセクハラが発生するのは、「知」を欲する学生が、それを手にしている(と思っている)大学教員の立場に上りたいという「欲望の欲望」を持ち、それを大学教員が勘違いするからだ

 −ちなみに、これはフロイトの「転移」と同じ話



というお茶目な議論に見える「人としての成長」の話だったりするわけです。



小津の映画評に関しても、「家族を失ったおっさんが、その後いかに生き伸びていくのか」というおっさんの成長の話だし、漱石の「こころ」の解釈は「明治の大人になる仕方」とのべています。



議論の組み方がジェットコースターのようで、つじつまが合っているのかなんなのか良くわからなくなりますが、僕はこの人は面白いと思うな。