[]世の中は不条理(映画「サンザシの樹の下で」)

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この映画、もっと古い時代のものだと思ってたんですが、2010年のつい最近の映画なんですね。



チャン・イーモウがなんでこの映画を2010年に作成したのか、ちょっと考えてしまいました。



チャン・イーモウの映画は「活きる」が強烈に印象に残っています。度重なる社会変化の中で、家族を失っていく主人公。それでも最後は「今日よりも明日の方が幸せだ」という感覚を感じさせるエンディング。悲しさと明るさが同居した凄い映画でした。



こちらの「サンザシの樹の下で」は、書こうとしている時代背景はかぶります。ただし、メッセージがまったく違う。すなわち、「世の中はどこまでいっても不条理だ」。



文化大革命の時代の中国で、出会い・恋に落ちた二人ですが、結局その恋は実りません。時代背景と家庭環境から自由な恋愛が出来ない、という不条理さもあるんですが、同時に病理というどうしようも無い不条理も重なります。



しかも、病理は唐突にやってきてボーイフレンドの命を奪い、映画も唐突に終わります。観ている観客のほうも、「なんだ、この不条理な映画は」と感じざるを得ません。



こういう救いのない映画は、なんというか、「凄い」と認めざるを得ないものと(「ミリオンダラーベイビー」とか「ダンサーインザダーク」とか)、良くわからないものとはっきりと分かれるんですが、「サンザシ〜」は後者の方に分類されます。個人的には。



おそらく、チャン・イーモウが表現したかったものを僕が共有できていないんだと思います。文化大革命の時代背景を使いながら、何か別のものを描きたかったのか?それは、今の中国とどんな関係があるのか?



そんなことを考えさせられる映画でした。