[]悲劇の共有(「永遠のゼロ」)
漫画版の方で読みました。
「海賊と呼ばれた男」からの百田尚樹つながり。
1巻だけ250円ですごく安くて、2巻以降は通常料金というディアゴスティーニ商法。キンドルの書籍の価格、どうにかならんもんですかね。粗利率めちゃめちゃ高いんだから、もうちょっと消費者に還元してくれても良いように思います。
ま、それはさておき、、、、
百田さんのストーリー展開は、ロマンティシズムの香りが強すぎるかな。ちょっと僕にはエンターテイメント性が鼻についてしまい、リアリティが感じられない作りになっているように思います。
終戦間際で特攻で死んだエースパイロットの人生を、うだつの上がらない孫の取材という形で少しづつ描いていくんですが、最初から彼の人物像が決まってしまっているように思うんですよね。
すなわち、
・家族と自分の命を大事にするリアリスト
・嫌なものは嫌、駄目なものは駄目とはっきり言う率直さ
・卓越した操縦技術を持つパイロット
・最終的に自己犠牲を厭わない人格者
で、この人物像は最後の最後まで変わらなく、日本軍からはもちろん、米軍からもこのような人物として認識されていた、ということが書かれています。
色々な人の証言を重ね合わせて人物像を描き出そうとしているのに、その重ね方がミルクレープのように単調。
そのあたりがどうもな、、、と正直思ってしまいます。
面白い読み物としては良いんですが、こういう構成にしてしまうともう一歩心に引っかかるところがなくなってしまうんだよな。。