[]バーバー(2001)
変化のない床屋の生活が、ふとしたきっかけでガラガラと崩れていく。
2002年に恵比寿ガーデンシネマで公開していた映画ですが、公開時のコピーが
「髪型を変えるように少しだけ人生を変えたい」
だったそうです。
例によって、ガーデンシネマの公開作品は万人受けしない、考え込んでしまう作品が多いように思うのですが、コピーは上手いですね。
コーエン兄弟の監督作、最近まとめて見ているのですが、これもコーエン兄弟っぽいと思います。
浮遊感
でしょうか。全編モノクロで、主人公である床屋の主人エド・クレイン(ビリー・ボプ・ソーントン)のモノローグで話が進んでいきます。
ドライ・クリーニングのフランチャイズ資金を手に入れる為に、妻の浮気相手を脅迫したことが雪だるま式に人生をおかしな方向に進めていってしまいます。その成り行きをエドのモノローグが追っていくわけですが、明暗表現だけで成り立っているモノクロの映像と、エドの淡々とした口調が、「俯瞰」的な雰囲気をかもし出しています。
「ファーゴ」もそうでしたが、この作品のテーマも「人生における個々の結果と全体の結果が繋がらない」ということのように見えます。 その場その場での判断が、最終的な良し悪しの判断と連結していない。
人生ってそういうものだよね、ということが言いたいのか、それとも他の事が言いたいのか、そのあたりは良く分かりませんが、いずれにしても見終わった後に、(例によって)考え込んでしまうことは請け合いです。
2001年カンヌ国際映画祭
□監督賞:ジョエル・コーエン