芸術人類学 中沢新一 (2006)

芸術人類学

サンタクロースの秘密」以降、中沢新一の著作はなるべく読むようにしているのですが、これもまた面白い本です。



はじめのほうにラスコー洞窟の壁画から、ホモサピエンス・サピエンスの流動思考を想像し、それを芸術と宗教の核心、と考える話が出てきます。こののあたりの推測力はさすがに鋭いなと思い、そこから一気に最後まで読みきることが出来る本です。(講演集のような感じなので読みやすい)



人や社会を見通すモデルとして「秩序立てようとする力」×「流動しようとする力」のバイロジックを前提に考えます。縄文の模様に関する話や、環太平洋の神話要素に関する話など、様々な分析を披露してくれます。



一読ですべて理解するのは難しいものが(少なくとも自分にとっては)ありますが、ちょっとした知的興奮を味わうことができる良書だと思います。



で、結局「流動する部分の構造ってどうなってんだっけ?」とかレヴィ・ストロースの「無意識の探求」の方法論ってどうなってるんだっけ?とか、いろいろとさらに知りたい問題が残っているので、またどこかのタイミングで読み返したいと思います。