働くひとのためのキャリア・デザイン (金井寿宏 2001)

働くひとのための

自分のキャリアに自信を持っていますか?





ちなみに、僕は持っていません。人生の大半を仕事をして過ごす以上、キャリアに満足できないイコール人生に満足できない、を意味します。



金井さんは人生の節目節目でキャリアについて考えることの必要性を訴えていますが、今がその節目で、この人の話はとても参考になります。キャリアはとても個人的な経験の集合体ですが、過去からの社会の中で、とても多くの人がキャリアを構築してきたわけで、アカデミックの領域では、そこから一定の理論が構築されています。



理論上のキャリアと、個人の経験としてのキャリアの間には当然乖離があるわけですが、だからキャリアの理論が役に立たないかというとそんなことはまったくありません。むしろ、自分の現在の立ち位置を確認する上で、理論を参照することはとても意味があると思います。



この本の中で金井さんが紹介していた理論のうち、ブリッジスの「トランジション論」とニコルソンの「トランジション・サイクル・モデル」は非常に参考になりました。ブリッジスのほうからは「終焉」に対する着目の大切さを、ニコルソンのほうからは自分の経験をスパイラル上に上昇するように構築していくことの大切さを学びました。



全体像の中でのポジションがはっきりするといろいろなことが見えてきます。それはあたかも道に迷ったときに地図上で自分の位置を確認するような行為です。(最近ではGPSなんかも使えますので、さらに正確な位置確認ができるようですが)



目的地と現在地がはっきりすれば、後は経路を選択するだけ。そんな時、金井さんの本は役に立ちます。