[]「有閑階級の理論」(ソースティン・ヴェブレン)

有閑階級




面白い本ですが、やはり何処かしら主張に時代のズレを感じます。



思うに、ヴェブレンが念頭に置いている「有閑階級」って、その当時のものと性質が微妙に変わっているんではないでしょうか。



有閑階級の成り立ちは、「製作者本能」によって作られた余剰が競争心に基づく「顕示的消費」に変わっていくところにあるとされていますが、今の時代、「製作者本能」に基づいて巨大な余剰(=資産)を作り出す人達は、結構そのまま突っ走って拡大再生産を突き進んでいるように思います。(よって顕示的消費なんてしている暇はない)



もしくはこれって栄枯盛衰を固く信じる東アジア的な考えなのかもしれませんが。



いや、でもやはり、社会階層のモビリティが比較的高い今の時代、作り出された余剰をムダに消費してしまう「有閑階級」というシステムは成立し難いように思います。



現在と将来を見通す為の理論として使うには、もう一ひねりが必要なように思います。



けど、なるほどと思う部分も多数ありました。さすがに定評ある古典ですね。





「(前略)こうしてわれわれは、実質的には金銭的な違いでしかないものを、しばしば、美的ないし知的な違いだと解釈することになる」






グサっと言ってくれるものです。