[]「さらばアメリカ」 (大前研一 2009)

さらばアメリカ




アメリカの相対的な国力が減退するという読みが常識になり始めているようですね。



経済学の学徒ではなかったので、人の解説を読んで始めて「なるほどね」と思う自分が悔しいのですが(データを眺めて、「あれ?」と思う頭の構造が出来ていない)、このアメリカ衰退のシナリオはかなり妥当性が高いように思います。



UKもそうなのですが、この国はどうしてこんなに豊かなんだろう、と不思議に思うことがしばしばありました。輸出産業でめぼしいものは無いのに、どうやってお金を稼いでいるのか、と。北海油田って言ったって、UKの人々を潤すほどのもんではないだろうし、製造業って言ったって、自動車等の外国工場があるくらいのもんだろう、と。(しかもこの不況で閉め始めているし)



ま、金融だろう、と認識をしていたのですが、そんなに単純な話ではなかった。



アメリカもイギリスもGDPに占める個人消費の割合が高く、アメリカの場合その65%が住宅消費なんだそうです。ところが、この地価の上昇が止まり、例のフレディマックファニーメイは負債処理に負われ、銀行融資は縮小されることから、アメリカの経済を支えてきたエンジンが長期に渡って止まることが予想されるのだそうです。



極めて単純な話だけれど、確かにそうなりそうな気がします。



そうすると、世界は多極化に向かい、米州、欧州、ロシア、中東、中国、アジア、がそれぞれ経済を引っ張るエンジンとして機能するようになる、と。



自分が残りの50年を生きようとしている世界地図はそんな感じになるようです。



経済は時として政治に大きく影響を受けます。自分が生きてきた過去30年を振り返っても、オイルショックプラザ合意、バブル、平成不況、とラベリングされる経済状況の発端は政治と連結していることが多い。



世界が多極化する、ということは、政治的な意思を持つ大きな主体が均衡して多数存在する、ということです。今までアメリカべったりで生きてきた日本人にとって、この世界は生きやすいのかどうなのか。もし行きやすくないのであればどうすれば良いのか。国際政治の意思のぶつかり合いの中でどうやって生きていけば良いのか。



そんな質問に答えを出さないとならない時代になってきました。



結構きついぞ、これは。