[]社長島耕作から読み取ること

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TSUTAYAで漫画を借りる、という悪いことを覚えてしまいました。



大阪からの帰りの新幹線で一気読みをしているのが、この島耕作シリーズ。人気のあるシリーズなので、貸し出し中の巻が多く、ヤング(平社員、係長)を読んで、課長の5巻くらいを読んだ後、飛んで専務を読み終えました。



しかし、島耕作って変ですよね。 正直、大会社の社長になるタイプでは無い様に思います。組織を作るとか、相手のモチベーションを上げるとか、人のマネージメントとして優れた逸話っていうがあまり無いのに、いつの間にか社長になっています。



イケメンで女性にもてて、色々波がありながらも人生を楽しく送っている個人プレーヤーで、本社で出世するタイプというより、海外の組織のトップあたりで日本人離れした生活を送るほうがキャラクターに合っているように思います。ま、団塊の世代のおとぎ話の主人公なので、本社で出世してくれないと読者が納得しないと言ってしまえばそれまでですが。



では何で島耕作が社長に推薦されるのかというと、それは「この人が持っている運の良さにみんなあやかりたいから」ということなのだと思います。



島耕作のストーリーをちょっと振り返ってみると、その内容の85%くらいの内容が語っているのは「この人は運の良い人だ」ということです。偶然出会った女性が仕事でも関係があって助けてくれる、とか、左遷されたと思っていたら意外に良い暮らしをして、最終的にはまた出世して本社に戻る、とか。



この人は生まれつき「運の良い人」で、その運の良さに組織の命運を託されたために、島耕作は社長になるのだろうと思います。



これ、ビジョナリーカンパニーの衰退の5段階説でいうと、初芝電産は衰退の4段階目に入っているということですね。本当に沈没する(5段階目)の直前に良くあるもので、神頼み的な「一発逆転策」を打ってみる、という状況です。



もはや万策尽きて、島耕作の運の良さに神頼みしたくなった、ということなのでしょう。



というわけで、ビジョナリーカンパニーのセオリー通りであれば、島耕作が社長としてやらなければならないことは、目立つ一発逆転劇ではなくて、会社の本質的な価値に立ち戻り、地道な改善を積み重ねること、ということになります。



それを漫画で表現することはとても大変ですね。



やっぱり社長編では華々しい施策を連発するのでしょうか? 最後の最後まで団塊の世代のファンタジーで終わってしまうのか、それとも何かしら次の世代への示唆になる仕事を残して引退していくのか、楽しみですねー。



来週の新幹線の中で社長編を読もうと思っています。