[]転職は今の30代の人たちにとっては必然 (AERA特集:成長にかける)

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「働く人の意識が変わってきたようだ」とAERAは言いますが、僕はそれは違うと思います。今転職している30代の人たちにとっては、大企業を出ることは10年前にセットされた時限爆弾のようなもので、必然的に起こっている事態だと思います。変わった意識なんて一つもありません。



今の30代の人たちっていうのは、日本の社会が変わるタイミングで10代の日々を過ごしています。



まず、バブルが崩壊して日本が長期低迷の時代に入るのを中学〜高校あたりで目撃しています。将来何になるかを考える時期に、「ああ、このまま社会についていっても駄目なんだ」と漠然と考えました。昭和天皇崩御も前後してあって、親の世代とは違う世の中を生きていかなければならないと思った。この考えは97年の金融機関の崩壊で決定付けられました。「大企業に入れば安心」というのはもう無いんだな、とわかってしまった。



と同時に、受けてきた教育は団塊ジュニアの端っこに引っかかっていることもあって、前世代のものと同じ「偏差値システム」に組み込まれてきました。受験戦争→いい中学・高校→良い大学→(良い企業??)というレールが敷かれていて、子供の時からとにかく一生懸命勉強をしなさい、と言われてきた。



こういう人たちが仕事を選ぶ年齢になったときに何に走ったかというと「手に職」という考え方です。結構多くの人が資格試験に精を出したのは、「大企業でも安心できない」という考えと「勉強しなきゃ」という考えの掛け算の末の現象だと思います。



資格試験には取り組まずとも、仕事の中でスキルを身につけたいと思って会社選びをした人は多いと思います。就職氷河期だったこともあって、いつ何時、会社が倒れても個人としては生き残る、という考えが埋め込まれているように思います。



ところが、日本の大半の企業は団塊の世代の人たちが過ごしやすいように作られていて、30代以下の人たちのメンタリティにぜんぜん合わないんですね。具体的には、あの世代の人口ボリュームをカバーするために、無駄なポジションやら部署がいっぱいあって、それが無駄な社内コンフリクトを作り出している。だから、何かを成し遂げてスキルをあげたいと思っても、色々な人に足を引っ張られ、自分の一存では何も決められてない状態になっています。



団塊の世代の人たちは、組織ピラミッドを上へ上へと上ることを良しとしてきたので、本社の中枢部門に行けば行くほど、団塊世代チックな世界が繰り広げられていて、30代の人には居心地が悪くなってきます。 (不幸にも)本社部門に配属された人の大半が、その後希望して現場に下りて行ったり、転職をしてしまっているように思います。



島耕作を読んでいると「これは団塊世代のファンタジーだ」と思うのですが、大企業で課長から部長になって役員になって社長になる、なんていう話が「理想だ」なんて思う30代っていうのはほとんど居ないんじゃないかと思います。



結局、勤勉であることを良しとして(偏差値システムの教育で培われてしまった。。。)、個人として生き残る決意を持った30代の人々は、自分で決断をして物事を動かすことができる職場環境を好み、それが大企業の中で見つからなかった場合は成長企業に出て行っている、ということなんだと思います。



20年前から同じメンタリティで、何も変わってはいません。





ちなみに、このAERAの特集、何で読んだのかと言うと、前職の同期が出ていたから。確かにきりっとした写真写りで、生き生きと仕事をしているのが見て取れました。いい仕事を見つけましたね。