[]不幸な日常は小さな愚かさの積み重ねによってできている(「4ヶ月、3週と2日」)

4ヶ月、3週と2日




この映画は痛い。



悲劇的でドラマのような不幸ではなくて、ごくありふれた不幸というものが何でできているのかということを描いた作品だと僕は解釈しました。



オープニングからどんよりとした雰囲気で始まるのですが、大学の女子寮に住む二人の女の子がなにやら不安げな相談をしています。1987年のまだチャウシェスク独裁政権化のルーマニアで、片方の女の子が妊娠をしてしまい、その中絶を闇医者に頼み、その処置をする1日の話、というのが映画のストーリーです。



一つ一つのシーンが、人間の小さな愚かしさを描写していくのですが、それが少しずつ陰鬱な雰囲気を助長して息が詰まりそうになる世界観を作っていきます。



描いているのは社会主義体制のルーマニアですが、観客としての自分に突きつけられたものは、「ああ、人間の不幸っていうのはこうやってできているんだ」という悲しい納得感でした。



後味の悪い映画ではありますが、面白い試みだと思います。